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炭疽について

炭疽菌ってなに?

炭疽菌とは?

疫学

症状は?

動物の炭疽

炭疽の検査法

コッホの三原則

予防と治療

白い粉を見つけたら…

炭疽菌を顕微鏡で見てみると?

炭疽ってなに?

炭疽は炭疽菌(Bscillus antharacis)の感染によっておこる疾病で、公衆衛生上は極めて重要な人畜共通感染症です。

土壌菌であり、芽胞を作ることで長い間、栄養素がない状態で土壌や動物製品などに存在することが可能です。

初めて純培養されたコッホの三原則を満たす病原菌として、またパスツールが弱毒性ワクチンを作った病原菌としても有名です。

感染症法では、4類感染症全数把握疾患であり、診断した医師は最寄の保健所に届け出ることになっています。

炭疽菌とは?

好気性グラム陽性大桿菌(1〜2μm×5〜10μm)で芽胞を形成します。

感染動物内では単独か短い連鎖、人口倍地で培養した場合は長い連鎖を形成します。

大気中では、数時間で芽胞を形成します。芽胞は熱、化学物質、pH、紫外線等に抵抗性があります。

炭疽菌の病原因子(毒素産生能と莢膜形成能)毒素産生能は、浮腫因子(edema facter, EF)、致死因子(lethal facter, LF)、防御抗原(protective antigen, PA)の3種類の蛋白から成っています。LFとEFが毒素の本体ですが、単独では毒性を示さず、PAの存在が不可欠となります。莢膜は宿主の食菌作用に抵抗する働きがあるとされています。

疫学

炭疽の発生は世界の多くの地域で見られます。
特に発展途上国や獣医衛生の立ち遅れている国に多く、年間の発生件数はヒトで2万人、家畜が100万頭に達すると推測されます。

炭疽菌は土壌などの環境中で芽胞として存在し、動物に感染します。
芽胞が生体内に進入すると、発芽し栄養型として増殖し炭疽を発症させます。
感染した動物の血液、体液、死体などで地表が汚染されると、その土壌は再び感染源となります。このようなサイクルを繰り返し、炭疽汚染地帯をつくるトルコ〜パキスタン間は炭疽ベルトとも呼ばれ、多数の発生が見られます。

わが国では家畜衛生などの対策により、ほとんど見られません。
1974年以降1982年と1984年にそれぞれ1例、1992年と1994年にそれぞれ2例の報告があります。しかし、過去(1965年)には密殺解体した牛を摂取したことを原因とする集団事件例が発生しています。

症状は?

感染経路によって皮膚炭疽、腸炭疽、肺炭疽(吸入炭疽)の3種類に分類されます。

皮膚炭疽:ヒトの炭疽の自然感染例の95%以上が皮膚炭疽です。傷口などから菌体が進入した場合、2〜3日で赤あるいは紫色の小さな腫れを生じ、その後その腫れを囲むように水泡ができます。5〜7日目で潰瘍が生じ、中央部に黒褐色の痂皮(炭疽癰)が形成されます。この黒色化が「炭疽」の語源です。
治療を行わないと浮腫が広がり重症ではショック死します。死亡率は、炭疽の中では比較的低く、治療をしない場合10〜20%、治療しても1%とされています。

腸炭疽:炭疽菌に汚染された食品や飲み物を経口的に摂取することによって発生し、死亡率は10%です。症状は腸方と口咽頭型の2つに分かれます。
腸型…吐き気、嘔吐、腹痛、吐血、血便、腹水の貯留
口咽頭型…嚥下障害、発熱、頸部のリンパ筋炎

肺炭疽(吸入炭疽):炭疽菌を吸入することによって発生しますが、発症例が極めて少ないことから、実際の症状についての情報は乏しいが、死亡率は極めて高いです。
初期症状は風邪様で、軽度の発熱、疲労感、倦怠感間が数日続き、頭痛、筋肉痛、悪寒、発熱そして胸部の軽度の疼痛が起きます。重症では、突然の呼吸困難、チアノーゼ、昏睡などが見られ、治療が成功しない場合24時間以内に死亡します。

動物の炭疽

牛、馬、めん羊、山羊なども草食獣において感受性が高い炭疽は、家畜の法廷伝染病に指定されており、罹患した家畜は家畜伝染病予防法による措置がとられます。

潜伏期:1〜5日
症状:発熱、眼結膜の充血、呼吸・脈拍の増数
さらに進み、敗血症期に入ると、可視粘膜の浮腫、チアノーゼ、肺水腫による呼吸困難、時に血色素尿の見られることがあり、経過の早いものでは24時間以内に死亡します。
剖検での特徴的病変は皮下の浮腫、口腔、鼻腔や肛門等の天然孔から暗赤色タール様の出血。脾臓の腫大です。

炭疽の検査法

臨床症状から判断するのは困難であるため、炭疽菌を分離同定するのが確実な方法です。

滲出物(皮膚炭疽)、痰(肺炭疽)、嘔吐物、糞便、腹水(腸炭疽)を検体として炭疽菌の分離あるいは同定を試みる。検体の直接染色によりグラム陽性芽胞形成性の桿菌、寒天倍地上での特徴的な集落の形成、血液寒天倍地で非溶血性で運動性がない場合には炭疽菌を疑います。さらにγファージテスト、パールテスト、アスコリー反応を行い、陽性であれば炭疽菌として確定できます。
この他に用いられる診断方法として、莢膜染色(レビーゲル染色)、PCR法などがあります。PCR法は他の菌が混入していても検出できる、試料の新鮮さを問われないという利点があります。

コッホの三原則

@一定の病気の病変部からは、つねに一定の微生物が検出されなければばらない。

A病変部から検出されたその微生物は、その病気だけに認められるものでなければいけない。

Bその微生物を感受性の動物に接種した場合、本来のものと同じ病気を起こすものでなければならない。

予防と治療

予防

自然発生の炭疽を予防するには炭疽を発症した動物を的確に淘汰し、汚染物の廃棄や殺菌を行う。
感受性動物のワクチン摂取、感染の可能性のあるヒトへのワクチン接種がもっとも効果がある防御方法です。
ヒト用のワクチンは、その投与法および副作用の問題もあり、わが国では承認されていません。また、一昨年のバイオテロの際の米国の対応でもワクチン摂取は一般的には薦められませんでした。

治療

一般的にペニシリンに対して感受性があるので、治療にはペニシリンが第一選択薬として使用されます。
その他テトラサイクリンやエリスロマイシンも使えます。アメリカでは、耐性菌を考慮し、シプロプロキサシンやドキシサイクインが用いられています。

白い粉を見つけたら…

パニックにならないこと

その場所にある換気ユニット、空調機のスイッチを切る

その部屋を離れ、ドアを閉めるか、あるいはその区域に他の人が立ち入らないようにする

すぐに水と石鹸で手を洗う

粉がかかった衣服はできる限り早く脱ぎ、ビニール袋か密封できる他の容器に入れる

このことを直ちに地元の警察に通報し、指示を受けてください

職場等で建物の警備係か管理者がいる場合には、その人達にも知らせましょう

その部屋または場所にいた人、特にその粉に実際に触れた人すべてをリストにしましょう。

炭疽菌を顕微鏡で見てみると?

炭疽菌(Bacillus anthracis)

キムザ染色

罹患牛の血液と松染色
菌体→
   莢膜→

グラム染色

普通寒天倍地で37℃、24時間培養後染色

芽胞染色(Wirtz法)

普通寒天培地で37℃、24時間培養後、温室で1週間以上放置した後に染色

莢膜染色

0.7%重炭酸ナトリウム加普通寒天培地で5%炭酸ガス環境下37℃、24時間培地後、染色

(問い合わせ先は、神奈川県衛生研究所 細菌部細菌科 鈴木理恵子
TEL045-363-1030 内線232)



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