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神奈川県微生物検査情報

神奈川県衛生研究所
第158号
2006年3月発行

速報:3月に入り県内でロタウイルスによる感染性胃腸炎患者が多く発生しています

  • 今年の発生状況は…?
  • 昨年の発生状況はどうなんだろう…?

ヒト由来細菌情報

医療機関からの患者発生届に伴う関係者調査を実施し、腸管出血性大腸菌O157が検出された。 定点医療機関からの検体検査で病原大腸菌が検出された。
感染症発生動向調査検査定点および一般依頼からの検体検査でA群溶血レンサ球菌が検出された。

食品由来細菌情報

行政検査の食肉からサルモネラが検出された。

環境由来細菌情報

県内定点10ヶ所の河川水調査で、O1&O139以外のコレラ菌、サルモネラが検出された。  
浴槽水の検査でレジオネラ ニューモフィラが検出された。  
温泉水の検査でレジオネラ ニューモフィラ、レジオネラ デュモフィが検出された。

結核QFT検査情報

衛生研究所本所において、平成17年11月から結核接触者検診におけるコンティフェロンTB-2G(QFT)検査の受付が開始された。平成18年1月末日までに112件の検査依頼があり、陽性例1件および疑陽性例2件が検出された。

集団発生情報

○県域での発生
(細菌)

  • 発生はなかった。

(ウイルス)

  • 県域各保健所管内初発集団かぜ発生は 7 事例あり、 1 事例からインフルエンザウイルス A(H1) 型が、 6 事例からインフルエンザウイルス A(H3) 型が検出された。
  • 食中毒様胃腸炎の発生は 4 事例あり、全ての事例からノロウイルスが検出された。
  • 感染性胃腸炎の発生は 5事例あり、全ての事例からノロウイルスが検出された。

○県域外発生関連調査

  • 他の自治体で発生した 食中毒様胃腸炎 2事例の検査依頼があり、うち1事例からノロウイルスが検出された。

ウイルス情報

○検査定点からの依頼によるもの
  1 月に採取された検体から検出されたウイルスは、インフルエンザウイルス A(H1) 型が 15 、インフルエンザウイルス A(H3) 型が 114 、パラインフルエンザウイルスが 1 、単純ヘルペスウイルス 1 型が 1 、ノロウイルスが 8 およびロタウイルスが 1 であった 。


(微生物部・地域調査部)

 
速報

3月に入り県内でロタウイルスによる感染性胃腸炎患者が多く発生しています!!

【今年の発生状況は・・・?】
 2006年は1月に1例のロタウイルス感染例が確認されましたが、2月にはロタウイルスの検出はされませんでした。しかし、3月の初め頃から県内の2つの定点で立て続けにロタウイルスの感染例が確認され、この時期だけで7例のロタウイルスに感染している患者が確認されています。確認された患者の年齢層は乳幼児と高齢者であり、現在、神奈川県内で乳幼児や高齢者の間でロタウイルスの流行が起こっていると推測されました。ロタウイルスは、乳幼児の高い死亡率から注意が必要です。

【昨年の発生状況はどうなんだろう・・・?】
 2005年はロタウイルスが感染症予測監視事業において、県域の小児科定点医療機関より2月と4月に1例ずつ確認されました。この時期の感染性胃腸炎検査状況は、1月から4月までの4ヶ月間で2つの小児科定点医療機関より依頼された24症例についての検査を実施した結果、ほとんどがノロウイルスによるもので、1、2月に5例ずつ、3月に4例で合計14例からノロウイルスが検出されました。その後12月までロタウイルスの検出はされず、ロタウイルスの流行は確認されておりません。
ロタウィルス

【ロタウイルスとは?】
 1973年にオーストラリアのBishopらにより十二指腸の上皮細胞から見いだされたウイルスです。電子顕微鏡で舵輪状の構造が見えるためロタウイルスと命名されました。小腸の上皮細胞で増殖し、嘔吐、発熱、下痢、脱水などの症状を引き起こします。主に乳幼児が罹患し、感染経路はヒトーヒトのふん口感染とされていますが、ロタウイルス感染症では気道感染が約半数に見られることから飛沫感染も否定できません。潜伏期は1から3日間で、症状の持続は5から8日間と長期にわたることが多く、このため脱水などの症状により死に至ることもあります。下痢が治まってからも2から3週間はウイルスが排出されています。また胃腸炎症状につづき良性痙攣や脳炎を呈した患者の脳脊髄液や血液からもロタウイルスが検出された報告もあります。ロタウイルスは、日本のように季節変動のある国では、冬期特に2月から4月に乳幼児を中心に認められています。また夏期には頻度が非常に少ないが僅かながら存在し、季節性の少ない熱帯地方では一年中認められているウイルスです。


(リケッチア・下痢症ウイルスグループ 片山 丘)

表1  ヒト由来検査件数及び病原菌検出状況(検査材料取扱い機関別)―平成18年1月
  平塚保健所 鎌倉保健所 藤沢保健所 小田原保健所 茅ヶ崎保健所 三崎保健所 秦野保健所 厚木保健所 大和保健所 足柄上保健所 津久井保健所 小計 衛生研究所 合計
取り扱い検査件数 445 340 349 891 222 107 221 606 140 215 209 3745 19 3764
海外渡航者数   2           2       4   4
腸管出血性大腸菌                 1     1   1
病原血清型大腸菌                         4 4
A群溶血レンサ球菌                          4 4
ヒト由来の検体3764件を検査した。
大和保健所の医療機関からの腸管出血性大腸菌患者発生届けに伴う関係者調査で、患者の家族から腸管出血性大腸菌O157:H7(VT1・VT2保有)が1件検出された。
定点医療機関より依頼のあった感染性胃腸炎患者便12件について検査したところ、病原大腸菌4件(血清型O1:2件、O6:1件、O18:1件 いずれもstx遺伝子非保有)が検出された。
定点医療機関より依頼のあったA群溶血性レンサ球菌咽頭炎患者検体から2件、一般依頼検査で咽頭2件よりA群溶血レンサ球菌(血清型T1)が検出された。
表2  食品由来検査件数及び病原菌検出状況(検査材料取扱い機関別)―平成18年1月
  平塚保健所 鎌倉保健所 藤沢保健所 小田原保健所 茅ヶ崎保健所 三崎保健所 秦野保健所 厚木保健所 大和保健所 足柄上保健所 津久井保健所 小計 衛生研究所 合計
取り扱い検査件数 14   23 71 25   11 21 11     176   176
サルモネラ O7群         2             2   2
サルモネラ O8群                 1     1   1
食品由来の検体176件を検査した。
平塚保健所で食肉の行政検査を実施したところ、サルモネラO7群(血清型Infantis)が2件検出された。
大和保健所で食肉の行政検査を実施したところ、サルモネラO8群(血清型Manhattan)が1件検出された。
表3  環境由来検査件数及び病原菌検出状況(検査材料取扱い機関別)―平成18年1月
  平塚保健所 鎌倉保健所 藤沢保健所 小田原保健所 茅ヶ崎保健所 三崎保健所 秦野保健所 厚木保健所 大和保健所 足柄上保健所 津久井保健所 小計 衛生研究所 合計
取り扱い検査件数 3   31 68 6     1       109 33 142
サルモネラ O7群                         1  
サルモネラ 型別不能                         1  
O1&O139以外コレラ菌                         4  
レジオネラ ニューモフィラ 1群       1               1   1
レジオネラ ニューモフィラ 3群       1               1 1 2
レジオネラ ニューモフィラ 4群                         1 1
レジオネラ ニューモフィラ 5群       2               2 4 6
レジオネラ ニューモフィラ 6群       3               3 3 6
レジオネラ ニューモフィラ 7群       1               1   1
レジオネラ ニューモフィラ 9群       2               2   2
レジオネラ デュモフィ                         2 2
レジオネラ ニューモフィラ型別不能       3               3   3
県内定点10カ所の河川水腸管系病原菌調査を行ったところ、O1&O139以外のコレラ菌4件、サルモネラO4群1件(血清型Saintpaul)、サルモネラO7群1件(血清型Infantis)が検出された。 
小田原保健所で4件のレジオネラ依頼検査を行ったところレジオネラ ニューモフィラ(血清型5群)が1件検出された。
小田原保健所で14件の浴槽水検査を行ったところレジオネラ ニューモフィラ9件(血清型1群、6群同時検出:1件、3群、5群、9群同時検出:1件、6群:2件、7群:1件、9群:1件、型別不能:3件)が検出された。
温泉水10件のレジオネラ属菌検査を行ったところ、レジオネラ属菌7件(血清型3群、6群同時検出:1件、4群、5群同時検出:2件、5群、6群同時検出:1件、6群:1件、5群、6群、レジオネラ デュモフィ同時検出:1件、レジオネラ デュモフィ:1件)が検出された。
表4  結核QFT検査実施状況 ―平成17年11月〜平成18年1月
  平塚保健所 鎌倉保健所 藤沢保健所 小田原保健所 茅ヶ崎保健所 三崎保健所 秦野保健所 厚木保健所 大和保健所 足柄上保健所 津久井保健所 合計
取り扱い検査件数     75   32         5   112
   陽   性                   1   1
   疑 陽 性     1             1   2
平成17年11月〜18年1月までに藤沢、足柄上および茅ヶ崎保健所から、結核接触者検診に基づく5事例112件の検査依頼があり、足柄上保健所管内で陽性、疑陽性例が各1件、藤沢保健所管内で疑陽性例が1件検出された。
 
表5 ウイルス検出状況(月別)-平成17年1月〜平成18年1月
      疾 患 名






 検出ウイルス
 1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月 10月 11月 12月 平成17年計  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月 10月 11月 12月 平成18年累計
インフルエンザ AH1                       6 6 19                       19
インフルエンザ AH3 14 47 13                 3 77 136                       136
インフルエンザ B 21 75 9                   105                          
パラインフルエンザ 1                           1                       1
R  S                     1   1                          
ポリオ 3         1               1                          
コクサッキー A4             1           1                          
コクサッキー A5               1         1                          
コクサッキー A6         2 9 9           20                          
コクサッキー A9                   1     1                          
コクサッキー A10           1             1                          
コクサッキー A16   1       4 3   4       12                          
コクサッキー B3             1           1                          
エコー 3           2 1           3                          
エコー 6           2             2                          
エンテロ 71         1               1                          
パレコー 1                   1     1                          
ムンプス         5 10 2     2 1 1 21                          
アデノ 2   1     1 1 1           4                          
アデノ 3 3         1   1   1 1 1 8                          
アデノ 4     1                   1                          
アデノ 5         1               1                          
アデノ 40/41                     2   2                          
単純ヘルペス 1 1         1       2     4 1                       1
ロ   タ   1 12 1 12             1 27 1                       1
ノ   ロ 101 21 23 2 17 7       1 21 44 237 84                       84
サ   ポ         31               31                          
未 同 定     1     1 8 8     2 2 22                          
オリエンチア  ツツガムシ                   1 12   13                          
合   計 140 146 59 3 71 39 26 10 4 9 40 58 605 242                       242

表6 ウイルス検出状況(疾患別) -平成18年1月
      疾 患 名






 検出ウイルス
重症急性呼吸器症候群 E型肝炎 ウエストナイル熱 A型肝炎 Q熱 狂犬病 高病原性鳥インフルエンザ つつが虫病 デング熱 日本紅斑熱 日本脳炎 ウイルス肝炎(A,E型以外) 急性脳炎 RSウイルス感染症 咽頭結膜熱 感染性胃腸炎 手足口病 風しん へルパンギーナ 麻しん(成人麻しんを除く) 流行性耳下腺炎 インフルエンザ様 急性出血性結膜炎 流行性角結膜炎 無菌性髄膜炎 性器ヘルペス 成人麻しん 食中毒 その他         合計
取り扱い検査件数                         1     49     1     167           105 8         331
インフルエンザ AH1                                           19                       19
インフルエンザ AH3                                           136                       136
パラインフルエンザ 1                                           1                       1
単純ヘルペス 1                                     1                             1
ロ   タ                               1                                   1
ノ   ロ                               25                       59           84
 
1月分コメント
○集団発生
・平成18年1月、県域で食中毒様胃腸炎の集団発生が4事例あり、患者便および吐物63検体中53検体および従事者便40検体中5検体からノロウイルスが検出された。
・感染性胃腸炎の集団発生は5事例あり、患者便34検体中17検体からノロウイルスが検出された。
・7集団30検体の集団かぜ患者のうがい液を検査したところ、1集団2検体からインフルエンザウイルスA(H1)型が分離され、他の2検体からはインフルエンザウイルスA(H1)型の遺伝子が検出された。また、4集団12検体からインフルエンザウイルスA(H3)型が分離され、4検体からインフルエンザウイルスA(H3)型の遺伝子が検出された。さらに、ウイルス分離陰性の2集団6検体からインフルエンザウイルスA(H3)型の遺伝子が検出された。
○県域外発生関連調査
・他の自治体から依頼のあった食中毒様胃腸炎2事例のうち1事例の患者便1検体からノロウイルスが検出された。
○発生動向調査の病原体検査定点からの依頼によるもの
・インフルエンザ様疾患患者の咽頭(または鼻腔)拭い液137検体を検査したところ、インフルエンザウイルスA(H1)型15株、インフルエンザウイルスA(H3)型105株が分離された。さらに、ウイルス分離陰性検体(17検体)のうち、9検体からインフルエンザウイルスA(H3)型、1検体からパラインフルエンザウイルス1型の遺伝子が検出された。
・ヘルパンギーナ患者の咽頭拭い液1検体を検査したところ、単純ヘルペスウイルス1型が分離された。
・感染性胃腸炎の患者便15検体を検査したところ、8検体からノロウイルスが検出され、1検体からA群ロタウイルスが検出された。
○県域保健所受付HIV抗体検査
・1月は、85件について検査したところ、すべて陰性であった。


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