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神奈川県衛生研究所

衛研ニュース
No.186

日焼け止めの使い方について

2018年5月発行

これからの暑い季節、屋外で活動する場合などに日焼け止めを使用する機会が増えてくるかと思います。ところで、日焼け止めの正しい使い方をご存じですか。日焼け止めにはSPF、PAなどの表示があり、シーンに応じた適切な使い方があります。今回は、皮膚に有害な紫外線や日焼け止めの成分、また日焼け止めの使い方等についてご説明いたします。

紫外線について

屋外でふりそそぐ太陽光には、主に紫外線、可視光線、赤外線が含まれています。この中で皮膚に有害な影響があるのは紫外線と言われています。
紫外線は、波長の違いによってUVA(315nm~400nm)、UVB(280nm~315nm)、UVC(100nm~280nm)の3つに分類されます。一般的に光には波長が短いほど散乱されやすい性質があり、波長の短いUVCは地表まで届きません。一方、UVBはある程度オゾン層にさえぎられて量は減りますが、地表まで届いています。また、UVAは波長が長いため減衰しにくく、その多くが地表に届いています。


図1 紫外線について(気象庁ホームページより抜粋)

紫外線の皮膚への有害な影響とは?

紫外線を浴びすぎることにより、肌の黒化(サンタン)、炎症(サンバーン)、シワやシミが発生するだけではなく、皮膚がん発症に影響を及ぼします。
同じ紫外線ですが、波長の異なるUVBとUVAでは皮膚に与える影響に違いがあります。
まず、UVBは皮膚の細胞のDNA、すなわち遺伝情報を傷つけることが知られています。これを繰り返すことによって、十分な修復ができず誤った遺伝情報が伝わり、皮膚がんにつながると考えられています。また、UVBは、皮膚の炎症を起こし、痛くなったり、サンバーンの主な原因になっています。
一方、UVAは地表まで多量に届き、皮膚表面だけではなく、波長が長いという性質上、皮膚の奥まで影響を与えます。その結果、シワやサンタンを引き起こすなどの皮膚への悪影響が懸念されます。

紫外線から身を守る方法


皮膚に有害な紫外線から身を守る必要があるのは、夏場の日中だけではありません。気象庁の観測所「つくば」における時間ごとのUVインデックス(世界共通のUV指数)によると、2月でも正午付近では「中程度」に該当する量の紫外線がふりそそいでいる日が観測されています。WHO(世界保健機関)では、UVインデックスを活用した紫外線対策が推奨されており、「中程度」の場合、日中は出来るだけ日陰を利用し、長袖シャツ、日焼け止め、帽子を利用することが推奨されています。また、紫外線に当たっても温度を感じないため、暑くないからといって紫外線対策が不要とは言い切れませんし、雲による紫外線の減衰はあまりないことから、曇りでも油断はできません。
紫外線から身を守る方法としては、紫外線の強い時間帯を避けること、日陰を利用すること、日傘、帽子、衣服やサングラスを利用するなどの方法があります。しかし、紫外線は上から降り注ぐ分だけではなく、建物などに当たって散乱してくる量も無視できません。従って、日傘や帽子では防御しきれませんので、紫外線の直接的な防御方法として、日焼け止めを使うことが有効な手段と考えられます。

日焼け止めの成分と表示について

日焼け止めには、「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」があります。紫外線吸収剤は紫外線を吸収して熱やエネルギーに変えることで、紫外線散乱剤は物理的に紫外線を反射することで紫外線から皮膚を守るものです。紫外線吸収剤として配合できる成分は、医薬品医療機器等法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で定める化粧品基準(平成12年9月29日付け厚生省告示第331号)別表第4に記載がある成分です。例えばオクトクリレン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル等があります。また、紫外線散乱剤として使用される成分には酸化亜鉛、酸化チタンなどがあります。配合成分は容器等の表示で確認することができます。

SPF・PAの表示を確認しましょう

日焼け止めを選ぶときには、SPF(Sun Protection Factor)、PA(Protection Grade of UVA)の表示を確認することが大事です。SPFとは、サンバーンの防止効果を示す指標です。数値の大きいものほど高い防御能力があることを示し、50+まであります。一方、PAはUVAの防止効果を示す指標です。PA+からPA4+まで4段階あり、+の数が多いほど防止効果が大きいことを示しています。いろいろなSPF、PA値を示したものがありますが、どのように選んだらよいのでしょうか。紫外線の強い季節に長時間屋外で活動する場合は、高い効果の日焼け止めを選ぶ必要があります。しかし、日焼け止めを使用したことによる皮膚障害の情報が事故情報データバンクシステムへ多数寄せられていることから、不要に強い効果のある日焼け止めの使用は控える方が無難と考えられます。紫外線の照射量の少ない日常生活の範囲であれば、それほど数値が高くない日焼け止めで十分です。日焼け止めとは表示されていなくてもSPF・PA等の表示のある乳液やクリームも有用です。


図2 生活シーンに合わせた紫外線防止用化粧品の選び方

なお、塗るタイミングは屋外に出る前、量は説明書をよく読んで塗りましょう。また、いったん塗った日焼け止めも、手や衣類に触れたり汗をかくことで落ちてしまうことがありますので、必要に応じて塗り直しを行ってください。

神奈川県衛生研究所における日焼け止めの成分検査について

神奈川県では、市販されている日焼け止めの品質確保のため、配合されている紫外線吸収剤について、成分と含有量が化粧品基準を遵守しているか、適正に表示しているかなどの検査を行っています。

日焼け止めを安全に使用するために

これからの季節、屋外で降り注ぐ紫外線の量はますます増えていきます。日焼け止めの表示を確認して適正使用をこころがけましょう。

<参考出典・参考リンク>

(理化学部 羽田千香子)

   
衛研ニュース No.186 平成30年5月発行
発行所 神奈川県衛生研究所(企画情報部)
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