神奈川県衛生研究所

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経常研究

[2017.3.29 掲載]

平成28年度経常研究課題の概要

研究員の業務上からの発想に基づく研究です。


No.

研究員

研究課題(概要)

研究年度

1

稲田貴嗣

微生物部
細菌・環境衛生G

ヒトスジシマカの生息状況と感染症対策に関する研究

アジアやアフリカで流行が散見されているチクングニヤ熱の原因ウイルスの中に、ヒトスジシマカに感受性の高い変異株が見つかり、病気の流行がアジア、ヨーロッパで増えている。ヒトスジシマカは日本でも一般的に見られる蚊であり、この病気が日本にも侵入し、広がることが懸念されていることから、県域の生息状況やウイルス保有状況を調査した。
県域20市町村の都市公園など174公園で、8分間人おとり法によって蚊の採集を行った。ヒトスジシマカ、ヤマトヤブカ、オオクロヤブカ、キンパラナガハシカ、アカイエカ群が採集された。1回(8分間)の採集で捕獲されたヒトスジシマカは、採集を行った90%以上の公園で10匹以下であった。

終了 26〜28
2 鈴木理恵子  微生物部
ウイルス・リケッチアG

下痢症ウイルス遺伝子の検索と遺伝子解析に関する研究

下痢症ウイルス(ノロウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス等)の検査法の主流はPCR法であるが、対象ごとにPCR試薬や反応条件等が異なり手技が煩雑なため、検出感度、コスト、時間など様々な問題がある。そこで複数のウイルスを同時に検出する方法であるマルチプレックスPCR法について検討を行い、効率の良い検査法の確立を試みた。
感染性胃腸炎患者便151検体について、アデノウイルス、A群ロタウイルス、C群ロタウイルスについてマルチプレクスPCR法を用いて検出を行ったところ、アデノウイルス5件、A群ロタウイルス4件が検出され、従来のRT-PCR法でも同様の成績が得られた。複数種類のウイルスを同時に検索することで、検査効率が高まった。また、ウイルス検索に要する時間を削減することは、食中毒等の緊急時対応にも有用であると思われた。

終了 26〜28
3 渡邉寿美  微生物部
ウイルス・リケッチアG

インフルエンザウイルス流行株のHA遺伝子の系統樹解析

インフルエンザウイルスの赤血球凝集素(HA)は、ウイルス表面に位置し細胞への侵入に関与するタンパクであり、その遺伝子は内部タンパクに比べて遺伝子変異が起きやすい特性を持っている。また、HAタンパクはワクチンの主要成分であるため、ウイルス株の遺伝子変異が流行の大きさを左右する場合がある。
そこで、神奈川県域の流行ウイルスの遺伝子変異の特徴を把握するために、ウイルスサーベイランスの過程で得られた分離株のHA遺伝子について遺伝子系統樹解析を行った。AH1pdm09、AH3型、B型の分離株を型別毎に解析した結果、各分離株の検出時期と同時期に国内で検出されていた分離株と近縁であることがわかった。また、県域独特の遺伝子変異を持った株のグループは確認されなかった。

終了 26〜28
4 福光 徹 理化学部
食品化学G

健康危機管理に係る緊急時の農薬迅速試験法に関する研究

農薬を原因とした有症苦情及び野鳥のへい死事例等における迅速な原因物質の特定は、住民の健康被害防止及び安全確保等の健康危機管理上、極めて重要である。このような苦情及び事例の原因究明のため、農産物の残留農薬試験法を利用し、検査を実施してきた。しかしながら、検査対象品及び農薬の種類は多岐にわたるため、原因究明に至らないことも多い。そこで、多様な検査対象品に適用可能な迅速かつ簡便な一斉試験法の開発を検討することとした。
本研究では、健康被害防止の観点から、毒性、使用実態及び過去の検出事例等を考慮し、約70種類の有機リン系農薬を対象として、試料の前処理方法及びガスクロマトグラフ質量分析計による測定方法を検討し、迅速かつ簡便な一斉試験法を確立した。また、食品への農薬混入事例や農薬による野鳥のへい死事例を想定した食品試料を用いて当該試験法の検証を行い、当該試験法の適用範囲を明らかにした。

終了 25〜28
5 関戸晴子 理化学部
食品化学G

合成樹脂製の器具又は容器包装におけるカドミウム及び鉛材質試験に関する検討

合成樹脂製品には、安定剤や着色剤等の添加剤として重金属化合物が使用されることがあるが、カドミウム(Cd)や鉛(Pb)は毒性が強いことから、器具・容器包装等では食品衛生法による規制がある。平成24年度に国立医薬品食品衛生研究所が中心となり実施した、Cd及びPbの材質試験の試験室間共同試験に参加した際、当所で公定法に準じて開放系の前処理を行った後に原子吸光光度法及び誘導結合プラズマ発光測定法により測定を行ったところ、基準値付近の濃度では良好な回収率が得られたが、基準値より高濃度に含有する検体ではPbの回収率が6割程度と著しく低かった。
一方、マイクロウェーブ法にて前処理を行った場合には高濃度でも良好な回収率が得られたことから、開放系の前処理過程での損失の可能性が考えられた。検査を実施するにあたっては、高濃度域にあっても正確な結果を出すことが求められることから、揮発や他の化合物の影響など、Pb減少の理由を検証する。

継続 27〜29
6 政岡智佳 微生物部
細菌・環境衛生G

感染性胃腸炎患者からの原因菌の検出及び病原因子の解析に関する研究

感染性胃腸炎の原因となる病原性大腸菌には、その病原性に関わる病原因子関連遺伝子が複数存在することが知られている。感染症発生動向調査では、平成24年から病原性大腸菌の病原因子関連遺伝子の保有状況による分類が始まった。
本研究では感染性胃腸炎患者から分離される病原性大腸菌における病原因子関連遺伝子の保有状況のデータの集積を目的とし、さらに臨床症状と検出された病原因子の保有状況を比較することで、その関連性を解明することを目指す。また、過去の検出状況と比較を行い、原因菌分離状況の変遷や病原性の変化について検討し、流行の解析等を行う。

新規 28〜30
7 林 孝子 理化学部
食品化学G

畜産食品中のβ作動薬一斉分析法に関する研究

近年、動物用医薬品であるβ作動薬を、肥育目的で違法に使用したことが原因の中毒事例が各国で報告されている。国内では、毒性の強いクレンブテロールが豚肉等を対象に不検出基準が設定されているが、海外では類縁物質の不正使用も報告されている。このため、輸入畜産物の検査対応の強化を目的に、クレンブテロールに類縁物質を加えたβ作動薬の迅速で簡便な一斉分析法の確立を検討する。
β作動薬のうち対象とする物質については、各国の検出事例を検索し、計6種を選定した。各対象物質について、LC-MS/MSによる測定条件を決定したのち、検討してきたクレンブテロール迅速分析法による抽出、分析を行った。その結果、クレンブテロールでは添加回収率が90%前後と良好であったが、ラクトパミン等4種については回収結果が50%未満となった。現在、抽出、精製過程の各操作法について検証を実施している。

新規 28〜30
8 羽田千香子 理化学部
薬事毒性・食品機能G

化粧品に配合される防腐剤成分の分析法に関する検討

化粧品に防腐目的に配合される代表的な成分であるパラベンは、消費者によってはアレルギーを引き起こす懸念があるとして注目されてきた。化粧品に配合できるパラベンは化粧品基準により最大配合量が規定されていること、全成分表示が義務付けられていることから、健康被害を未然に防止するためには製品の適正な品質管理と法令遵守が必要である。従って、当所では従来より化粧品の品質確保を目的とし、薬務課から依頼を受けて収去化粧品中のパラベンを含む防腐剤成分の分析を行っている。
化粧品中のパラベンの分析方法は衛生試験法注解や所報に収載があるが、パラベンのスペクトル構造は酷似していることから特異性に乏しく、複数の分析法で確認する必要がある。そこで、迅速化、信頼性確保のため、分析カラムや機器条件の検討を行い、新たな分析法の確立を目的としている。

新規 28〜30
9 佐藤 学 理化学部
生活化学・放射能G

新たに水質管理目標設定項目の対象となった農薬に関する研究 〜分析法の確立と浄水処理における挙動〜

水道の水質基準体系において、農薬類は水質管理目標設定項目に設定されている。平成25年4月に農薬類の分類見直しが行われ、農薬類は対象農薬リスト掲載の120農薬、要検討農薬類の16農薬、その他の農薬類の84農薬等に分類されることとなった。これらの農薬類のうち、新たに追加された要検討農薬類、その他の農薬類については、分析方法、水源における存在実態、環境中での挙動、浄水処理過程における挙動等に未解明な部分が多い。
これらの新規追加農薬類について分析法の検討を行い、確立された分析法について水道水、原水等の実試料を用いて妥当性評価を行うとともに、県内水道水源の河川における存在実態の把握および浄水処理における挙動を解明することを研究目的とする。

新規 28〜30

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