こんなにあるの!?細菌性食中毒

博士

微生物部 黒木俊郎

食品を食べたり飲んだりすることで種々の原因により中毒を起こすことを食中毒といい、このうち細菌が原因となる食中毒を細菌性食中毒といいます。細菌性食中毒の件数は食中毒全体の約7090%を占めています。細菌性食中毒の原因となる細菌として、サルモネラに腸管出血性大腸菌O157やその他の病原大腸菌、赤痢菌、チフス菌、パラチフスA菌、腸炎ビブリオ、コレラ菌、ナグビブリオ、ビブリオ・フルビアリス、ビブリオ・ミミカス、エロモナス・ハイドロフィラ、エロモナス・ソブリア、プレジオモナス・シゲロイデス、セレウス菌、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、エルシニア・エンテロコリチカ、黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、ボツリヌス菌、リステリア・モノサイトゲネスなど、多くの種類があります。なかでもサルモネラと腸炎ビブリオ、カンピロバクター・ジェジュニ/コリによる食中毒の患者数が上位を占めています。

これらの細菌にはそれぞれ特徴があり、分布している環境や食中毒の発生の仕方が異なっています。食中毒の発生の仕方に注目すると、大きく3つに分けることができます。特徴をおぼえて食中毒を防ぐことが重要です。

 

1.感染型(細菌が体内で増えて食中毒を起こす)

  サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなど

2.毒素型(細菌が食品中で増殖して毒素が作られ、食中毒を起こす)

  黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌

3.生体内毒素型(細菌が体内で増えると毒素を作り、食中毒を起こす)

  病原大腸菌、ウェルシュ菌など

 

細菌性食中毒はここ数年、年に2000件前後の食中毒が発生していますが、そのうち約20%は家庭内で発生しています。こうした食中毒の予防の3原則は

 

1.付けない。(よく洗う。別々に使う。包む。

2.増やさない。(早く調理し、食べる。冷蔵(10℃以下)・冷凍で保存する。)

3.殺す。(加熱する(75℃以上)。消毒する。)

 

です。この原則に沿って、食中毒を防ぐ6つのポイントがあります。

 

食中毒を防ぐ6つのポイント

ポイント1 買うとき

・生鮮食品は新鮮なものを買って、早く持ち帰る。

ポイント2 保存するとき

・持ち帰った肉、魚、野菜などは別々に、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れ、早めに食べてしまう。 詰め過ぎに注意する。

ポイント3 下準備をするとき

・調理や食事の前に石鹸などで手をよく洗う。調理器具は清潔にし、なるべく熱湯消毒する。肉、魚、野菜などは別々に洗う。

ポイント4 調理するとき

・十分に加熱する。目安は中心部の温度が75℃以上を1分間以上。

ポイント5 食べるとき

・調理したらすぐに食べ、室温で長く放置しない。

ポイント6 残ったとき

・清潔な食器で保存する。

 

細菌性食中毒の原因となる細菌の特徴とともに、これらのポイントを守ることで食中毒を防ぎ、楽しい食生活と健やかな生活を送ることが大切です。

 

最近では、食の流通や食習慣の変化などにより、以前には考えられなかった形態の食中毒が発生するようになりました。すなわち、家族内での食中毒や1つの店を中心とした小規模な食中毒ではなく、広範囲の地域で発生する大規模な食中毒が起きるようになっています。例えば、レストランチェーンでの食中毒やイカ菓子を介した食中毒などが挙げられます。こうした食中毒を防ぐには、食品の原料や製造過程の段階での衛生管理が不可欠となっています。

メモ